HOME > 学習ノート > 実践的評価法「足部」> 「膝部」> 「骨盤」>「脊椎」>「肩・頚部」 > ■ 評価法 肩・頚部 ● 頚部 問診:頚部以外の痛みや頭痛の有無、夜間痛、睡眠中の姿勢、仕事上での姿勢、車の運転時 の姿勢など日常のことを尋ねる。 摩擦音は関節疾患を表す兆候である。 咳に伴う痛み-りきんだ時に痛みがある場合、疾患の可能性がある。 ●肩部の位置 全体的姿勢の観察 肩の位置-肩は、前に突き出ていないか、 背筋は伸びているか、頚椎を支えている胸椎の彎曲の観察をする。 側方傾斜 正中線に対する頭の位置の確認。 頚椎の傾き、インピンジメント(ぶつかるの意味)による神経性の疼痛の疑い(右後頭下の 緊張)足と反対側に頭が傾く。 ※インピンジメント症候群とは、肩関節の内側の慢性的な障害や外傷による痛みや症状のこと。 側方へのずれ 下部頚椎の拘縮 ずれている側の頚部側面に拘縮の可能性がある。 頭部の前傾 後頭下の拘縮 頭部の前傾や顎の位置 顎は後傾か前傾か? 顎の位置は頭部と頚部の位置に大きく関わる。 ●自動的屈曲の観察 首を前に曲げてもらう。痛みがあるかどうか尋ねる。 次はできるだけ曲げてもらう。 さらに前屈してもらい顎の下に指を入れて客観的テストを行い、症状や制限の有無を聞く。 前屈動作=後頭部の制限 前屈動作により制限があれば後頭部の筋肉の拘縮がある。 ●自動的伸展の観察 後頭部を支えて補助し、天井を向いてもらう。 次はできるだけ反らしてもらう。 ●伸展の制限の有無の観察 制限は頚部の筋の拘縮か頚部関節の変位である。 軽い関節炎(関節機能不全)が伸展を妨げている原因かもしれない。 ※ 屈曲、伸展のテストによって、頚部の傾きがわかる。 首を伸ばすと頭が横に動くのに、曲げると垂直に動くからである。 この動作の観察で視覚的に関節の動きを知ることができる。 例えば関節の右側が屈曲状態で制限されているとします。 すると関節を伸展させようとするとできないので頭が左に傾いてしまうのです。 頚部が伸展すると右椎間関節の屈曲障害は伸展を妨げる 頭部は左に回旋する。 ●自動的回旋の観察 鼻の位置で観察 できるだけ首を左に回してもらう、次は右に、正面で止める。 鼻の位置で可動域を測定する。左右を比較する。 関節がどう動くのかがわかる。 右回旋:右の関節は閉じて、左の関節は開く 右回旋が少ない原因は、正しく閉じない右関節が機能障害を起こしている可能性 があるか、左側の筋肉の拘縮が原因とも考えられるポキポキというような摩擦音が 聞こえるか、尋ねる。 これは関節に圧迫が加わり関節どうしがすれている。 ●自動的側屈の観察 耳を肩につけるように指導して側屈してもらう。 どれだけ耳が肩に近づいたかを見て両側の側屈の度合いを比較する。 側屈の制限:斜角筋(前中後)の拘縮、摩擦音、痛みの確認 肩が上がってしまう場合、同側の拘縮が考えられる ●自動的肩挙上の観察 肩を耳に近づけるように指示します。 肩甲帯の観察、可動域、左右の動きが対象かどうか、 関節摩擦音や痛みはないかなど確認する。 肩を上げる動作に制限がある場合、筋肉の拘縮か、周囲部位の痛みをとうざけるための意図的 反応かもしれない。 僧帽筋・肩甲挙筋・肩甲骨が関わる。 ●自動的肩屈曲の観察 両手を上に挙げてもらい(万歳の姿勢)、異状や痛みなどの確認をする。 頚椎につながっている僧帽筋上部と挙筋上部を動かす。 頚部に炎症がある場合、この動作で症状が出る場合がある。 ●屈曲筋カテスト 正常な筋力 最大の力に抗する(最大の力に逆らって関節の維持を保持したまま筋肉の収縮を続けられる 状態をいう。それぞれの関節に適した最も大きな力という意味。 ■良好な筋力-中程度の力に抗する(5よりやや弱い強さ) 最大関節可動域まで動かせる筋力(重力と均等な強さ、つまり重力に対して体の部位を最大に 最大関節可動域まで動かせる筋力) ■最大関節可動域の中間点まで動かせる筋力 (重力に対して体の部位を最大関節可動域の中間点まで動かせる筋力レベル) ■最少の筋力(非常に弱い筋力。意識して努力すれば僅かに筋肉を収縮させることができ、関節 を動かせる筋力レベル) ■筋力の欠如(筋力のない状態。筋肉の収縮が起こせず、筋肉が弱った状態です。) 筋肉弱化の原因:萎縮、活動不足(痛みは活動不足になる)周辺部位に神経障害がある可能性が ある。末梢神経の脱神経、神経断裂、頭部の外傷や脊髄損傷など。 ●頚部筋カテスト 頚部の筋肉の強度を調べる。優しい力で行うこと。 頚椎分節が正しく並んでいるか否か。 肩部に手を置き固定して、額を優しく押す。 患者は押す力に逆らうように指導する。 首の前側の筋肉が等しく収縮しているか。 痛み、筋力の弱さがないかどうか。 頚部前方の筋の弱化/炎症 ●伸展筋カテスト 鎖骨周辺を手で支え、後頭部を押す。 頚椎後部の筋力を調べる。痛みがないかどうか。 テストにより伸筋の強度が判明する。 関節摩擦音や筋肉の不安定さがあれば筋力の低下を示す兆候である。 ●側屈筋カテスト 頭部側面と、肩に手を置き固定、押してテストをする。 両側を行う。 頚部左右の筋力がわかる。 斜角筋、胸鎖乳突筋、頚部深筋 ●回旋筋カテスト 頬骨を固定、左(右)に回旋させ抵抗させる。反対側も同様に調べる。 頭板状筋、胸鎖乳突筋、後頭筋、肩甲挙筋 肩甲帯のテスト ●肩甲骨挙上筋カテスト 胸部で腕を組ませ、肩を上に上げさせ、抵抗を加える。痛みや症状が出ていないか尋ねること。 抵抗力に負けている場合は肩甲帯の筋肉が弱いことを示します。 あるいは力を入れると頚部の痛みが強くなるため力を抜いてしまったのかもしれない。 僧帽筋、肩甲挙筋、脊椎の炎症。 ●肩甲骨屈曲筋カテスト 両腕を前に伸ばし、上から抵抗をかける。 頚部に症状が出るかどうか確認するためのテストである。 痛みが出るようなら僧帽筋、肩甲挙筋の上部が関わっている。 ●顎関節筋カテスト 口腔に曲げた指が3本入る場合は正常可動域である。 頚部の上部、下部の障害、頭痛の原因であることがある。 口の開け方は左右対称かどうか確認する。 関節摩擦音や痛みがないか尋ねる。顎関節の障害か筋肉のスパズムの可能性が考えられる。 頚椎上部の疾患は顎関節に障害を引き起こす可能性がある。痛みがある場合、第二、三頚神経、 三叉神経の障害が疑われる。 軽く口を開けさせてから、下顎に下から軽く抵抗を加える。 痛みがないか、関節摩擦音がしないか。 すぐに閉じてしまうような場合には顎関節が弱いことが考えられる。 咬筋の場合は軽く口を開けさせながら、横に動かしてテストをする。 顎関節の筋肉の収縮を知るために、拇指と第2指を後ろ側に当てて、触診する。 頚椎上部の回旋を確認できる。回旋動作で顎や頚椎上部に痛みは関節の靭帯か筋肉の炎症。 徒手テスト 頚部の特定の構造についてさらに詳しい情報を得ることができる。 ●クォードラントテスト 神経根刺激や孔、脊椎の中を通っている小さな穴、(椎間孔)が閉じてしまっているか等 を判定できる。 椎間孔には多くの神経が走っていて、関節炎や外傷、椎間板の膨張などにより、穴が狭まっ てしまうことがある。それで神経が刺激される。 ニュートラルな姿勢では必ずしもわからないが、しかし頭部を後ろに動かし、首の前部を伸 展させると左右の椎間孔が閉じる。症状に変化はあるかを確認する。 腕、頭、手などに痛みがあるか聞いて下さい。しびれやうずくような痛み、ひりひりしたり 不快な症状はないか聞いて下さい。 患者自身が頭部を後ろに動かしても構わない。ゆっくり頭を起こして下さい。 後屈の途中で痛みなどの症状が現れたらそこで中止します。 例:左腕の疼痛、しびれ-神経が関わっている場合には椎間孔が閉じることにより圧迫されて 痛みが出る。 反対側に向けて場合には和らぐ。 側屈しても判明しない時には回旋させ調べる。 神経系の痛みが伴わない時には筋肉の緊張が原因と考えられる。 わからない時には動作を組み合わせて調べる。 神経は非常にデリケートですから細心の注意を払って下さい。 左腕が痛む場合、頭を左に動かすと左の椎間孔が閉じて症状が悪化する。 また右に動かすと左の椎間孔が大きく広がり痛みが和らぐことがある。 この動作で症状を再現できない場合、頚部を回旋します。左へ回旋すると左の椎間孔が狭まり症状 が悪化します。 右へ回旋すると椎間孔が広がり神経の刺激が少なくなるため症状が和らぎます。 これらの動作が神経の痛みを伴わない場合には筋肉の緊張が原因かもしれません。 頚部の左側に痛みがあるとします。 頭を側屈しても症状に変化がありません。今度は右へ動かして患者が痛みを訴えたとします。 今、左側の軟部組織を伸ばしているので関節が開いています。 痛みの原因は神経ではなく関節でしょう。原因が特定できない場合は動作を組み合わせます。 伸展させたり、側屈させたり、左へ回旋させてみます。この動作で完全に椎間孔が塞がります。 ●牽引テスト(頚部の神経根刺激を調べる) 側頭部を両手で包みながら牽引する。約2~4kgの力で10~15秒間頭上に引っ張る。 このテストで症状が良くなり改善した場合は、椎間孔が開き、神経の刺激が少なくなり、 症状が和らいだためであるが、悪化した場合は筋肉の緊張や関節の炎症を意味する。 ●頚部圧迫テスト 頭部を上から押して神経の刺激が強まるかを調べます。このテストは神経を痛める危険があ ります。神経を痛めない別の方法があるのであればそちらを優先すること。 疾患の原因が頚部周辺の神経や椎間孔周辺の神経、または椎間板の障害などであるか確認した ら、次は頚部の側面から腱部にかけて腕神経叢を調べます。 神経性の痛みはインピンジメントにより起きることがあり、それを調べるテストがいくつかあ ります。この領域が圧迫されている場合、症状の現れる可能性の場所は広範囲です。 ある患者が首が痛む、肩も腕も胸の前側と後ろ側も痛むと訴えたとします。 それは頚部の神経が圧迫されて起きる具体的な症状とは言えません。 むしろ腕神経叢の炎症が疑われます。 ●アドソンテスト(胸郭出口症候群の検査) これは腕神経叢が頚部の前外側面にある前斜角筋に圧迫されているかを調べるテストです。 まず、患者に頭を真っ直ぐな位置に保ってもらい、橈骨動脈の脈拍を三指で測る。 腕を持ち,体幹より後ろに引き、脈に変化が無いか調べる。 脈が遅ければ斜角筋群が圧迫されていることがある。 つまり動脈と神経の位置関係を利用して脈拍の減少や血管の閉塞がないかを 調べると神経の圧迫もわかるのです。頚部を疾患のある方向へ回旋させます。 (頭部回旋は斜角筋前部に緊張を起こす)この位置を保ちます。 10秒~20秒間待ちます。頭を戻します。脈を確認します。 特に脈拍の減少といった変化がある場合、それは斜角筋周辺に腕神経叢インピンジメントが 存在する恐れがあります。
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