HOME > 学習ノート > 実践的評価法「足部」> 膝部 ■ 評価法 膝部 評価法に入る前に 当然のことですが、膝が悪いと歩行に大変ご苦労をします。 そんな辛さを取ってあげたいと思うのはどなたでも同じです。 整形外科にかからなければならない場合は別にしても、簡単なことで、楽になる場合もあります。 一般の方でもできることを一つお話致します。 膝の真後ろのくぼみに委中(いちゅう)というツボがあります。 膝の痛みを取るのに大変に良い場所です。 下を向いて(伏臥位)寝てもらい、膝を曲げて、膝のくぼみ(膝窩:しつか)を やさしく揉みながら、その後にゆっくりと押圧します。 硬くなっていることが多いので、柔らかくなるまで、ゆっくりです。 きっと楽になっているはずです。 最初にどれだけ曲げることができるのかを聞いておくことも大切です。 施術する前と施術後を比較して下さい。 これから少し難しくなってきますので、初心者では分からない言葉などたくさん出て来ます。 単語、部位、症状など 本や検索エンジン グーグルで検索し、それをノートに写して下さい。 そうすると頭に残りますので、良い勉強になります。 読むだけではなかなか頭には残りません。特に解剖は書く事、描く事が大切です。 膝は他の部位に比べ多くの評価を行います。 それだけ繊細な部分でもあるのです。また、ひねりに弱い場所でもあります。 どんなときに膝が痛みますか? 3パターンに分けてみましょう。 1)座ると痛い 2)階段の昇り降り 3)膝が伸びない(膝のロッキング) 1)座ると痛い。 その場合には膝蓋大腿症候群(膝蓋大腿関節で起こる疾患の総称)である可能性が高いです。 考えられる症状や障害などです。 ・ジャンパー膝 ・膝蓋腱炎 ・大腿四頭筋腱炎 ・滑膜ヒダ障害(タナ障害) ・膝蓋骨亜脱臼症候群 ・分裂膝蓋骨 2)階段の昇り降りの時に痛み、擦れるような音がする。 その時に擦れるような音、弾けるような音がするのなら膝蓋大腿部の障害であることが考えられます。 3)膝の曲げ伸ばしできない。 膝ロッキング (真性と仮性) ①足を振ることでロックが解けるのであれば仮性ですし、解けなければ真性です。 膝蓋骨から起こる、膝の裏側で炎症部位が圧迫されるとロックをします。 ② 真性のロッキング 膝関節で軟骨が損傷を受けて機能障害が起きることで発症します。 ③半月板損傷-運動やスポーツの時に起こりやすいので注意して下さい。 断裂した半月板の一部が顆間窩(かかんか)に挟み込まれるのが原因となることが多い。 体重が負荷した状態で膝関節に異常な回旋力が加わると半月板が損傷を受けます。 若年者の場合スポーツ中に膝を捻って損傷しやすく、中高年の場合は半月板に無理な動作 や立ち上がり動作時に外力が加わって損傷する場合があります。 関節は捻りに弱いのです。 脆弱性(もろくて弱い性質) 突然膝が弱った感じがした場合。 ①軟骨が締め付けられている。 ②膝蓋大腿部に問題がある。 腫脹 痛みと腫脹(はれ)があるかどうか。 膝関節の内部に何らかの障害があります。 炎症を起してる状態です。炎症は冷やすことが大切です。 炎症、軟部組織の損傷、靭帯の断裂による内出血などが考えらる。 痛む場所はいつも一定か、それとも不特定ですか。 ①痛みを感じる場所が変わる:膝蓋骨の後ろに炎症がある場合など ②特定の場所に症状が現われる:半月板や関節炎 関節の擦れる音はしますか。 関節が擦れるような音がする場合、膝蓋骨や膝蓋大腿関節で軟骨軟化症や軟骨がもろく なってきていることが考えられます。 立位での観察 腫れていないか。 脚の筋肉が一方と比べ細くなっていないか。 腫脹-膝の表面や膝蓋上嚢(ひつがいじょうのう)に沿って腫れがある場合は膝関節に 炎症があることが多い。 関節内部が腫れている状態を浸出液による腫れ、関節の外部が腫れている状態を浮腫 (むくみ)または腫脹(はれ)といいます。 浸出の場合は関節包の中に腫脹があります。 膝関節周囲の筋肉や大腿部や下腿部に萎縮はないかも診て下さい。 座位での観察 自動的伸展 膝の上げ下げをしてもらいしっかり伸ばすことが出来るのかを確認します。 膝蓋骨でポキポキというような音や擦れるような音がしないかも確認しましょう。 足をしっかり上げ、伸ばせない場合には膝関節自体に可動域制限を起こす原因があるか、 ハムストリングの緊張が考えられます。 伸展の限界があるのなら関節の硬さやハムストリングの緊張が疑われます。 屈筋筋力テスト 患者を座らせて膝関節の屈筋筋力テストをします。 もう一方もテストして左右の筋力の均等性やハムストリングの脆弱性と痛みの 有無を確かめましょう。 伸筋筋力テスト 膝関節の伸展と大腿四頭筋のテスト 患者の膝関節を一度、限界までゆっくり伸ばします。そして30度程度に曲げ、 20~30度曲げた状態で膝の裏を支え保持し、足関節を押さえテストをします。 力を抜きます。続いて60度ほど曲げて、もう一度筋力をテストします。 力を抜き、足を下げます。ここで再び力を加え、力を抜きます。 この時膝蓋骨の後ろ側にある軟骨の障害の程度も調べます。 膝の角度と炎症 角度を変え膝関節を30度曲げると膝蓋骨の後ろ側、下方部分の軟骨が大腿骨の端に 触れ、その部分が圧迫されます。 膝蓋骨の後ろ側で炎症が起きている時は患者は痛みを感じます。 次は角度を60度にします。 すると今度は膝蓋骨の後ろ側の中央が圧迫されます。 もしそこで痛みを感じるのであればそこに膝蓋骨中央に炎症があることがわかります。 膝を90度の角度にしたときは膝の関節の中でも特に膝蓋大腿部の上方が圧迫されます。 もしその部位に痛みがあれば軟骨が炎症を起こしていることになります。 他動的屈曲テスト 足を静かに持ち上げ関節を屈曲させ、硬く止まる所まで膝を曲げる。 膝関節の屈曲と可動域は膝の腫脹(はれ)により左右されます。 関節液が溜まっている場合、足を持ち上げた時に関節液が膝関節を圧迫して膝の屈曲を 妨げます。 また負傷してしばらくの間、関節の可動域を制限していた場合は関節包や靭帯が硬くな るため膝関節に緊張が見られることがあります。 他動的伸展テスト(伸展と過伸展) 膝関節をまっすぐ伸ばします。 患者の大腿部を固定し踵がどの程度持ち上がるか調べます。 それにより過伸展が分かります。 膝関節の伸展を制限している場合、2つ考えられます。 ①膝周辺の軟部組織や靭帯の緊張 ②軟骨のトラブル
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