陰陽論とは何か(全体像)
① 陰陽論を一言でいうと
この世のすべては「陰」と「陽」という正反対の性質で成り立ち、そのバランスで健康も不調も決まるという考え方
健康=陰と陽の釣り合い
② 陰と陽の基本的な性質
● 陽(よう)
動く
温かい
明るい
外向き
昼
興奮
上・表
● 陰(いん)
静か
冷たい
暗い
内向き
夜
休息
下・裏
例:
太陽=陽 / 月=陰
活動=陽 / 睡眠=陰
③ 陰陽は「どちらが良い・悪い」ではない
陽だけ → 燃え尽きる
陰だけ → 停滞する
両方あって初めて生命が成り立つ
大切なのは「量」と「バランス」
④ 体の中の陰陽(人体への当てはめ)
● 体の構造
上半身=陽
下半身=陰
背中=陽
お腹=陰
● 臓腑の陰陽
陽の臓(動かす)
胃・小腸・大腸・胆・膀胱
陰の臓(蓄える)
肝・心・脾・肺・腎
● 機能の陰陽
気=陽
血・水=陰
⑤ 陰陽の4つの基本法則(超重要)
① 対立
陰と陽は正反対
例:寒い/暑い
② 互根(ごこん)
陰と陽は互いに支え合う
夜があるから昼がある
③ 消長
陰陽は常に増えたり減ったり
昼→夜、夏→冬
④ 転化
限界を超えると反転
暑すぎ → 冷房で冷えすぎ
⑥ 陰陽の乱れが起こるとどうなるか
● 陽が強すぎる(陽盛)
のぼせ
イライラ
不眠
口渇
● 陽が弱すぎる(陽虚)
冷え
倦怠感
下痢
やる気が出ない
● 陰が強すぎる(陰盛)
むくみ
重だるさ
動きたくない
● 陰が弱すぎる(陰虚)
ほてり
寝汗
口の渇き
不安感
⑦ 生活で見る陰陽の乱れ(具体例)
● 夜更かし
夜(陰)に活動(陽)しすぎ
→ 陰不足 → 不眠・疲労
● 冷たい物の摂りすぎ
陰が過剰
→ 胃腸不調・冷え
● 頑張りすぎ
陽の使いすぎ
→ 陽虚・燃え尽き
⑧ 陰陽を整える生活のコツ
● 陽を補うとき
温かい食事
朝日を浴びる
適度な運動
● 陰を養うとき
早寝
静かな時間
ぬるめの入浴
⑨ 陰陽論を一言でまとめると
健康とは「頑張ること」ではなく「切り替えられること」
動いたら休む
温めたら冷ます
出したら蓄える
最後に(とても大切な視点)
陰陽論は難しい理論ではなく、「自然のリズムを体に取り戻す知恵」です。
不調は失敗ではなく陰陽バランスが崩れたサイン。
自分の体質について知っておこう「陰症と陽症」
陰症と陽症について
「陰症(いんしょう)」と「陽症(ようしょう)」は、主に東洋医学(漢方医学)で使われる体質・病状の考え方です。
病気や不調の性質・傾向を大きく2つに分けて捉えます。
陽症(ようしょう)とは
活発・過剰・熱的な状態を指します。
特徴
-
体力が比較的ある
-
熱っぽい、ほてる
-
顔が赤い
-
のどが渇く
-
イライラしやすい
-
痛みが強く、急性で激しいことが多い
例
「勢いが強く、外に向かう症状」が陽症です。
陰症(いんしょう)とは
虚弱・不足・冷えの状態を指します。
特徴
-
体力が低下している
-
冷えやすい
-
顔色が青白い
-
疲れやすい
-
下痢しやすい
-
症状が慢性で長引きやすい
例
「エネルギーが足りず、内にこもる症状」が陰症です。
簡単な対比表
西洋医学との違い
そのため、同じ病名でも「陰症タイプ」「陽症タイプ」に分かれることがあります。
陽症(ようしょう)
-
体力がある
-
暑がり・熱っぽい
-
顔色が赤い
-
症状が急性で強い
-
痛みが激しい
-
便秘しやすい
-
のどが渇く
-
イライラしやすい
陰症(いんしょう)
-
体力が少ない
-
寒がり・冷えやすい
-
顔色が青白い
-
症状が慢性で弱い
-
鈍い痛み・不快感
-
下痢しやすい
-
のどがあまり渇かない
-
元気がなく疲れやすい
① 体質の見分け方(セルフチェック)
当てはまるものが多い方が、今の体質傾向です。
陽症タイプ
-
暑がりで汗をかきやすい
-
冷たい飲み物が好き
-
顔が赤くなりやすい
-
イライラしやすい
-
便秘しがち
-
症状が急に強く出る
多ければ 陽症傾向
陰症タイプ
-
手足が冷えやすい
-
温かい飲み物が好き
-
疲れやすく元気が出にくい
-
顔色が青白い
-
下痢・軟便になりやすい
-
症状が長引きやすい
多ければ 陰症傾向
※季節や体調で入れ替わることもあります。
② 食事や生活での対処法
陽症タイプの対処法
ポイント:熱を冷まし、興奮を抑える
食事
-
向いているもの
-
控えたいもの
-
唐辛子、にんにく
-
揚げ物、脂っこい料理
-
アルコール、コーヒー
生活
-
夜更かしを避ける
-
深呼吸・ストレッチでリラックス
-
適度な運動(やり過ぎない)
-
入浴はぬるめで短め
陰症タイプの対処法
ポイント:体を温め、エネルギーを補う
食事
-
向いているもの
-
生姜、ねぎ、にんにく
-
根菜(人参・ごぼう)
-
味噌汁、スープ
-
控えたいもの
生活
-
体を冷やさない(首・お腹・足)
-
シャワーだけでなく湯船に浸かる
-
睡眠をしっかり取る
-
軽い運動で血流を促す
大切なポイント
-
陰と陽は固定ではない
-
無理に逆を目指さず「今の状態を整える」
-
病気がある場合は自己判断での漢方使用は注意
① 季節ごとの対処法(陰陽の考え方)
春(陽が上がり始める)
特徴
対処
-
軽い運動・散歩
-
酸味(酢・柑橘)を少し取り入れる
-
夜更かしを避ける
陽が強くなりすぎないよう調整
夏(陽が最高潮)
特徴
対処
-
水分補給(冷やしすぎない)
-
苦味(ゴーヤ・緑茶)
-
冷房で冷えすぎない
「冷ましすぎ」に注意
秋(陽から陰へ)
特徴
対処
-
温かい食事
-
白い食材(大根・梨・白ごま)
-
早寝を意識
体を乾燥させない
冬(陰が最も強い)
特徴
対処
エネルギーを蓄える季節
② 陰陽が混ざったタイプ(とても多い)
よくある例
-
上半身は暑いが、足は冷える
-
便秘と下痢を繰り返す
-
昼は元気、夜はぐったり
「陰陽錯雑(いんようさくざつ)」と呼ばれます。
対処の考え方
-
強すぎる方を抑える
-
弱い方を少し補う
-
極端な食事・生活を避ける
例:
-
冷たいもの+温かいスープ
-
激しい運動よりウォーキング
③ 代表的な漢方薬(※一般的説明)
※あくまで「傾向の説明」です。服用は医師・薬剤師に相談してください。
陽症向けに使われることが多いもの
-
黄連解毒湯
→ のぼせ・イライラ・炎症
-
白虎加人参湯
→ 強い口渇・ほてり
陰症向けに使われることが多いもの
-
補中益気湯
→ 疲労・食欲不振
-
八味地黄丸
→ 冷え・足腰のだるさ
混合タイプで使われることがあるもの
-
桂枝茯苓丸
→ 冷えのぼせ
-
加味逍遥散
→ 自律神経の乱れ
最後に大切なこと
-
陰陽は「バランスの目安」
-
年齢・季節・体調で変化する
-
完璧に分類しなくて大丈夫
ご自身やご家族の状態に当てはめて、
「これはどれに近いかな?」と考えるだけでも、
日常ケアにとても役立ちます。
高齢者の見方(陰が強くなりやすい)
① 体質の傾向
-
年齢とともに 陰症傾向 になりやすい
-
体力・回復力が低下
-
冷え・乾燥が目立つ
② よくある不調
-
冷え、腰や膝の痛み
-
疲れやすい
-
夜間頻尿
-
食欲低下
-
便秘や下痢を繰り返す
③ 日常の整え方
-
体を冷やさない(特に腰・足首)
-
温かく消化の良い食事
-
少量でも栄養のある食事
-
無理な運動は避け、軽く体を動かす
-
早寝早起き
「補う・守る」が基本
女性の見方(陰陽の変動が大きい)
① 体質の傾向
-
月経・妊娠・更年期で 陰陽が揺れやすい
-
冷えとのぼせが混在しやすい
② よくある不調
-
生理痛・PMS
-
冷え性・むくみ
-
イライラ・不安
-
肩こり・頭痛
-
更年期症状
③ 日常の整え方
-
お腹・腰・足を温める
-
甘い物・冷たい物を控えめに
-
睡眠を最優先
-
ストレスをため込まない
-
月経周期に合わせて無理をしない
「巡らせて、温める」がポイント
子どもの見方(陽が強く未熟)
① 体質の傾向
-
もともと 陽症寄り
-
成長途中でバランスが不安定
-
熱が出やすい
② よくある不調
-
発熱しやすい
-
夜泣き・かんしゃく
-
便秘や下痢
-
食べムラ
-
風邪をひきやすい
③ 日常の整え方
-
食べ過ぎさせない
-
甘い物・油物を控える
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汗をかいたら着替える
-
寝る時間を一定に
-
無理に冷やさない
「過剰な陽を抑え、育てる」
共通して大切な考え方
-
陰陽は「固定」ではない
-
年齢・季節・体調で変わる
-
生活の小さな調整が一番の養生
ここまで知っておくと、
✔ 家族の体調変化に早く気づける
✔ 病院に行く目安がわかる
✔ 無理のないセルフケアができる
① 病院に行くべきサイン(陰陽の視点)
すぐ受診を考えたいサイン
※年齢を問わず重要です
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高熱が続く/急に悪化する
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意識がぼんやりする
-
強い痛みが治まらない
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水分・食事が取れない
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呼吸が苦しい
-
急激な体力低下
陽症が暴走、または 陰が極端に消耗している状態。
早めに相談したいサイン
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不調が2週間以上続く
-
同じ症状を何度も繰り返す
-
寝ても疲れが取れない
-
冷えやのぼせが慢性化
-
気力が極端に落ちた
陰陽バランスの崩れが固定化している可能性。
② 家庭でできる簡単養生(今日からできる)
朝の養生
陽を穏やかに立ち上げる
食事の養生
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空腹すぎ・満腹すぎを避ける
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冷たい物は「少量・昼まで」
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夜は温かく軽め
胃腸=陰陽の土台
夜の養生
-
湯船に浸かる
-
スマホは早めに切り上げる
-
首・お腹・足を温める
陽を静め、陰を養う
③ 陰陽から見た睡眠と運動
睡眠の考え方
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夜=陰の時間
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寝不足 → 陰不足
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寝すぎ → 陽不足
目安
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子ども:早寝重視
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大人:7時間前後
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高齢者:昼寝は短く
「質」を最優先
運動の考え方
陽症タイプ
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激しい運動は控えめ
-
ウォーキング・ストレッチ
-
クールダウン重視
陰症タイプ
「やりすぎない」が最重要
年齢別ワンポイントまとめ
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高齢者:守る・温める・休む
-
女性:巡らせる・整える・無理しない
-
子ども:与えすぎない・寝かせる・見守る
最後に
東洋医学の陰陽は
「診断」ではなく 生活の羅針盤 です。
✔ 今日は冷えてる?
✔ ちょっと頑張りすぎ?
そう気づけるだけで、体はかなり整いやすくなります。